遠眼鏡屋2

「原発メルトダウン危機の88時間」をみて(*1)

3月13日にNHKの地上波で「原発メルトダウン危機の88時間」(前後編あわせて90分)を放送していたのをあとで知って、DailyMotionで観た。2011年から5回にわたって放送されたメルトダウンシリーズの総集編といえる内容であった。過去5回の放送はそれぞれテーマを絞って、国会事故調、政府事故調などに並ぶNHK事故調の心意気の、科学性を前面に押し出したものであったのに対し、総集編は一般市民が将来記憶すべき原発事故の顛末をさらっとまとめた印象のものであった。

今ふりかえってみると、フク一(フクイチ)原発事故は人的被害を別にすれば、結局、千年に一度の大地震津波により全ての電源を失ったため原子炉の冷却に失敗し、メルトダウンから原子炉建屋が水素(あるいは水蒸気)爆発し、飛散した大量の放射性物質と汚染水、そして原子燃料デブリ(*2)が残ったことに尽きると思う。

緊急冷却装置の操作方法を職員たちがよく知らなかったとか、消防車からの注水が沢山のリークのため一部しか肝心の原子炉に届かなかった点、またベントの際に排気をくぐらせる水が沸騰状態になったため予想外に大量の放射性物質がまき散らされてしまったことなど後発の問題はいろいろあるが、根本的な問題は以下にまとめられるのではないであろうか。

1.フク一の原子炉は50〜60年まえライバルのウエスチングハウス社に先を越されたGEが経済性を売り物に発表した簡便型原子炉であったこと
2.もともとフク一の設置された場所は、海面から20メートルの高台であったものを、冷却用の取水の経済性を求めて海抜10メートルにまで削り下げたこと
3.過去最大の津波の高さをよく調べないまま基礎工事が進められたこと(後年その存在が確認されたのに非常時発電装置や電源盤の設置場所を高所に移動しなかったこと)
4.緊急時に東北電力から送電をしてもらうための送電塔が一般家庭より早く倒壊してしまって使えなくなったこと

[2016.04.03追記]

(*1)表題を訂正
(*2)「そして原子燃料デブリ」を追加