遠眼鏡屋2

総需要曲線と総供給曲線で考える ーー 賢者の石を求める

前回の記述の問題点は次の二点であろう。
1.デジテル革命が雇用の喪失を通じて全体需要の減少を招く、というのは本当か。
2.どの企業もそういう合理的な方式を採用した暁には、経済全体としてはいたるところ過剰供給の山となる、のであろうか。

教科書では上記二点を統一的にこう表現するようだ。
縦軸を価格水準、横軸を産出量として、経済の総需要曲線(右肩下がり)と総供給曲線(右肩上がり)の交点が現在の経済の均衡点であり、上記1は総需要曲線が左シフトするかどうか。2は総供給曲線が右シフトした場合均衡点がどう変化するか。

以下は管理人の推量である。
一 便宜上、総需要曲線は変化しないとして、総供給曲線が右シフトすると、価格水準は下がり、産出量は増加する。この時もし総需要曲線がほとんど水平(価格弾力性大)なら、価格低下(デフレ)はほとんど起きずに産出量増加(=経済拡大)が実現する。
二 ところが、1990年代以降日本経済は流動性トラップにハマり込んでいたから、総需要曲線はほとんど垂直(価格弾力性小)になっていたため、モノ余りから価格の急低下ばかりが起き、経済の拡大はほとんど見られなかった。
三 ここで、もし総需要曲線の左シフトが起きたとするなら、デフレと経済縮小が同時に起きる。
四 今後、デジタル革命を利用して、今までにない新しい製品・サービスの開発が活発に行われるなら、総需要曲線の右へのシフトから、経済拡大とデフレ脱却が起きるにちがいない。

実は、上のような推量をするについては、下に列挙する記事群を参考にさせていただいた。ただし、著者である野口悠紀雄さんは、新興国からの安い工業品の輸入によるデフレの進行に焦点をあてて論述しているのであって、デジタル革命による生産合理化に言及しておられないので留意が必要である。

金融緩和してもデフレは克服できない ──今こそ必要なデフレの経済学(1)
日本でのみ需要が増えず物価が下がる理由──今こそ必要なデフレの経済学(2)
総需要の激減に対して金融政策は無意味 ──今こそ必要なデフレの経済学(3)
デフレに関する典型的な3つの誤解 ──今こそ必要なデフレの経済学(4)
総需要の減少をもたらした2つの要因 ──今こそ必要なデフレの経済学(5)
「円高こそデフレの原因」説の怪しさ ──今こそ必要なデフレの経済学(6)