遠眼鏡屋2

インタゲ派とリフレ派(後)

2000年代半ばにようやく景気は底打ちした(つまり流動性の罠から脱出した)わけであるが、この原因について日本では、銀行等の不良債権処理が進み金融市場の正常化ができたからとする見方が多かった。が、アメリカの専門家などは、安い円相場(対ドル100〜120円)に支えられた貿易黒字によると見ていたと記憶する。この間の事情がインタゲ派からリフレ派への移行に何らかの影響を与えなかったであろうか。

ともかく上記のような外部環境の変化をうけた現在、純粋のインタゲ派という人がどれだけ残っているのかは知らない(勿論インフレターゲットへの心性はひとりインタゲ派のみでなく、リフレ派の一部にも共有されていると見るべきである)が、インフレターゲット政策の骨子は、日銀による国債その他資産の徹底的買い入れによりマイルドインフレーションを引き起こすことだと思う。

この度安倍首相が、選挙期間中とはいえ「日銀にどんどん国債を買ってもらって」と発言したことは、インタゲ政策遂行の隙間に便乗して、公共事業をどんどんやりたいという政治家の考えを吐露したものであろう。はからずも金融積極派と財政積極派の連合体が成立した印象である。

そう、目指すは国の経済の復活や財政建て直しという遠い目標ではなく、とりあえずインフレーションを起こすこと、あとは走りながら考えよう、といったところであろうか。これで、もし、程よいインフレーションが起きずに、わが国が苦境に陥った場合は、クルーグマンさんは今度は十数年まえの持論の不完全さについて日本国民に謝らなければならないかも知れないな。