遠眼鏡屋2

スタグフレーション

朝の寝床でふと思った。

自民党の安倍さんからの日銀への圧力は強いらしく、白川さんが押し込まれているようだ。結局中央銀行の存在意義についての二つの考え方の違いと感じる。一つは「通貨の価値と通貨システムを守る」との考え、二つは「通貨価値、通貨システムにくわえて雇用の維持を目的とする」。

日銀にしても実質第二の立場にたって金融政策を行ってきたのであろうが、ケインズ経済学が常識化している政界・産業界から見ると雇用維持つまり経済活性化にもっと重点を移してもらいたい、というのだろう。

安倍さんの意向の後にはいわゆるインフレターゲット派(以下インタゲ派)の学者が付いているように見える。管理人の素人判断であるが、この派の学者さんたちはケインズ経済学が想定する通常の財政金融政策の範囲を越えた大胆な政策を主張している。いわく、日銀の目標は年率2〜3%程度の物価上昇ターゲットを実現することにあり、それに失敗した場合は責任をとらねばならない。

昔と違って今は人口が減少かつ高齢化して、潜在的には消費需要も、投資需要も大きく伸びることは考えにくい。この環境下で金融政策が需要増大に結びつくのは可能であろうか。

忖度するにインタゲ派の人たちもこうした通常の経路にはあまり期待していないであろう。かれらの期待する経路は、まず日銀主導のもとにインフレの芽を発生させ、国中にインフレ期待(予想)の渦を巻き起こす。こうなれば長年様子見を続けていた消費者や企業が目覚めて消費・投資の需要が大きく伸びる、またそれが伸びなくてもインフレになった分(=通貨価値が減少した分)借金づけで苦しんでいた企業・消費者の負担が減り、あらたな需要拡大が生まれる。

こうした旨い話しは本当だろうか。すっかり低成長になじんでしまったわが国経済に長期間持続するインフレマインドを植えつけるのは容易ではないだろうし、さらに、首尾よくインフレ現象が席捲するようになったらなったで、それが年率千%以上というようなハイパーインフレーションにならない保証はない。

だが、管理人が想像する一番ありそうな事態はスタグフレーションだ。
国中を円がジャブジャブと流れるようになれば、たしかにインフレは起きるであろう。が、それは不動産や証券の世界で顕著におきる、つまりバブルの再来だろう。バブルが思わぬ所得の移転をもたらすのを20年まえの日本は経験した。少数の持てる者と多数の持たざる者(若い世代の大半がここに居る)との格差の拡大である。こうして実質の消費需要は停滞し、やがて投資需要も伸び悩む。インフレ下の不景気。こうなれば、内閣不信任から解散、選挙惨敗は必至であろう。

さらに、日本のインフレが世界中に波及していくことも念頭に置かずばなるまい。

しかし、こうした懸念にもかかわらず、インタゲ派以外の学者からの声(一般市民向けの声)が少ないとおもう。そうした学者さんは、きっと安全地帯に身をおきながら、壮大な経済実験を眺めてみたいのであろう。